鍼灸重宝記
- yokando2
- 2023年7月29日
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『鍼灸重宝記』は、1718年、本郷正豊の書で、後年、八木下翁が15歳から90余歳までの長年にわたりこの書のみを金科玉条として他書には一切寄らず営々として治療に専念されたとして有名で、日本独自の鍼灸術を目指す経絡治療家の必須の書となっている。しかし、本書は、いわゆる鍼灸治療のマニュアル本で、古典的な鍼灸書からそのエッセンスを忠実に集録したもので、主な引用書物は次のとおりである。
・ 黄帝内経
・ 難経
・ 十四経絡発揮(滑白仁)
・ 鍼灸聚英(高武)
・ 鍼道秘訣集(御園夢分斎)
・ 鍼灸抜萃大成(岡本一抱)
はたして日本の鍼灸はオリジナリティを生みだせるだろうか。それは、夢のまた夢なのだろうか。
ウィーンフィルの指揮者の小澤征爾は言う。自分が行っている実験は、西洋音楽のクラシックを日本人のもつ感性で極めていくことで、これは、成功しつつある。将来、クラッシクの中心は日本になるだろうと、力強く語っている。日本も将来、世界の鍼灸の中心になってもらいたものだ。
とまれ、本書にも若干だがオリジナリティの部分はある。「当流伝授の奥義」とある箇所である。以下の通り。私も、けっこう、この技を利用させてもらっている。
“抑々予が伝るところは本朝針家の祖、無分の末流なり、病の頭にあるも腹に刺し、病脚にあるも亦腹に刺す。その刺すに次第あり、諸病まづ臍の下二寸、丹田の一穴を刺す。これ腎間の動気にして十二経の根本なり、これを刺して元気を劫かし、其後に散針の法によって経穴に拘らず、ただ邪気のある処を刺して元気の巡途を開きて通ぜしむれば気順ずる、気順ずれば痰順ず、痰順ずれば熱散ずる、熱散ずれば風内に消す、況や又気順ずるときは血活す、血活すれば潤い生ず、潤い生ずれば精を益す、精益すときは神内に立、それ針の功をなすこと此の如し。”
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