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足の陽明胃経

  • yokando2
  • 2023年7月29日
  • 読了時間: 8分

【足の陽明胃経】

ST01承泣

【部位】眼窩下縁の中央にして眼輪筋中にある。

【解説】承泣は足陽明胃経、陽蹻脈、任脈の交会穴であり、眼疾患の主要穴である。眼疾患で羞明、流涙するに鍼して効あり。瀉血するもよい。承泣から睛明に透刺して近視を、また合谷、風池を配穴して涙嚢炎を治療する。

ST02四白

【部位】眼窩下縁の中央より下方1寸、眼窩下孔部にある。

【解説】眼疾、すなわち結膜炎、トラホーム、眼瞼炎、麦粒腫等に効あり。

ST03巨髎

【部位】鼻孔の傍ら8分、瞳子の直下にある。

【解説】巨髎は足陽明胃経、手陽明大腸経、陽蹻脈の交会穴である。歯痛、顔面神経麻痺の主要穴である。鍼して上歯痛に効あり。下関、合谷を配穴して上歯痛をする。

ST04地倉

【部位】口角の傍ら4分にある。

【解説】地倉は足陽明胃経、手陽明大腸経、陽蹻脈の交会穴である。『玉龍歌』、『雑病穴法歌』など多くの古書には、「地倉、頬車に連ね顔面神経麻痺を治療する」とある。顔面神経麻痺、三叉神経痛に灸して効あり。近代では地倉から頬車に透刺して顔面神経麻痺や顔面痙攣を治療する。

ST05大迎

【部位】下顎角より前方1寸3分の陥凹部、動脈手に応ずる所にある。

【解説】下歯痛、歯齦炎に鍼して効あり。

ST06頬車

【部位】下顎角と耳垂の間、口を開ければ凹む所にある。

【解説】頬車は祛風活絡の作用がある。下歯痛、顔面神経麻痺、三叉神経痛に著効。承漿、合谷を配穴して下歯痛と顔面神経麻痺を、また人中を配穴して小児ひきつけ、牙関緊急を治療する。

ST07下関

【部位】頬骨弓中央の下縁、側頭下窩の陥中にある。

【解説】下関は足陽明胃経と足少陽胆経の交会穴である。下関の作用は頬車と同じであるが、耳疾患および下顎関節炎の治療においては、頬車よりも効果的である。歯痛、歯齦膜炎には6~7分の刺入で目的に達する。合谷を配穴して上歯痛、三叉神経痛」を、また聴宮を配穴して耳聾を治療する。

ST08頭維

【部位】側頭の前部、額角髪際を入ること5分、神庭穴の外4寸5分にある。

【解説】頭維は足陽明胃経と足少陽胆経の交会穴であり、頭痛、片頭痛の主要穴である。顔面神経麻痺にみられる前額のしわの消失や上眼瞼の無力に対しては著効を示す。片頭痛、眼疾患で羞明、流涙するに鍼して効あり。百会、風池、太陽、合谷を配穴して頭痛を治療し、陽白を配穴して顔面神経麻痺にみられる前額のしわの消失や眼瞼の無力を治療する。

ST09人迎

【部位】前頚部、喉頭隆起の外方1寸5分、頚動脈の拍動部にある。

【解説】人迎は足陽明胃経と足少陽胆経の交会穴である。喘息、高血圧(洞刺)、咽喉腫痛、発声困難に著効。曲池、内関、陽陵泉、足三里を配穴して高血圧を治療する。

ST10水突

【部位】前頚部、胸鎖乳突筋の前縁で、人迎穴と気舎穴の中間にある。

ST11気舎

【部位】前頚部、天突穴の外方1寸5分、胸鎖乳突筋の胸骨頭と鎖骨頭の間、小鎖骨上窩にある。

【解説】咳嗽、気管支炎、リンパ腺炎、頚のこりに著効。

ST12缺盆

【部位】大鎖骨上窩の中央、乳腺上で、天突穴の外方4寸にある。

【解説】肺尖カタル、喘息、瘰癧、上肢痛・麻痺、気管支炎、胸膜炎に著効。

ST13気戸

【部位】前胸部、鎖骨下縁で乳腺上にある。

【解説】呼吸器系疾患、すなわち感冒、気管支炎、肺結核等に効あり。

ST14庫房

【部位】前胸部、第1肋間陥凹部、乳腺上にある。

【解説】呼吸器系疾患、すなわち気管支炎、胸脇苦悶に効あり。

ST15屋翳

【部位】前胸部、第2肋間、乳腺上にある。

【解説】呼吸器系疾患、すなわち気管支炎、胸脇苦悶に効あり。

ST16膺窓

【部位】前胸部、第3肋間、乳腺上にある。

【解説】膺窓は乳房腫痛の主要穴で、清熱消腫の作用がある。呼吸器系疾患、すなわち咳嗽、喘息、胸痛、腹痛に効あり。乳根、膻中、少沢を配穴して乳腺炎を治療し、発熱を伴うものにはさらに大椎、合谷を加える。膻中、内関を配穴して頻脈、不整脈、心痛を治療する。

ST17乳中

【部位】前胸部、第4肋間、乳頭の中央にある。

ST18乳根

【部位】前胸部、第5肋間、乳腺上にある。

【解説】乳根は乳房疾患(乳臑不足、乳腺炎)や狭心症の主要穴である。膻中を配穴して前胸部痛を治療する。また、膻中、少沢を配穴して乳房の腫痛や産後の乳汁のつまりあるいは乳汁の分泌不足を治療する。

ST19不容

【部位】下肋部、巨闕穴の外方2寸、第8肋軟骨付着部の下際にある。

【解説】胃疾患を主る。

ST20承満

【部位】上腹部、上脘穴の外方2寸、不容穴の下1寸にある。

【解説】胃疾患を主る。

ST21梁門

【部位】上腹部、中脘穴の外方2寸、不容穴の下2寸にある。

【解説】梁門は胃疾患の常用穴である。中脘、足三里、内関、公孫を配穴して心窩部痛、胃潰瘍を治療する。

ST22関門

【部位】上腹部、建里穴の外方2寸、梁門穴の下1寸にある。

【解説】関門は胃の諸病に効く。関門以下、大巨あたりまでは腹直筋圧診点に当たる。胃・大腸・腹膜等の圧診点とされる。

ST23太乙

【部位】上腹部、下脘穴の外方2寸、関門穴の下1寸にある。

【解説】胃の諸病に効く。胃痛、腸疝痛、遺尿、精神病に著効。

ST24滑肉門

【部位】上腹部、水分穴の外方2寸、天枢穴の上1寸にある。

【解説】消化器疾患を主る。

ST25天枢

【部位】腹部、臍の外方2寸にある。

【解説】天枢は大腸経の募穴で、腸疾患の常用穴である。下痢、便秘、赤痢、腸チフス、胃カタルに著効。中脘、気海、足三里を配穴して急・慢性腸炎、腹痛、細菌性下痢、麻痺性イレウス(腸閉塞)を治療する。また外陵、上巨虚を配穴して虫垂炎を治療する。

ST26外陵

【部位】下腹部、陰交穴の外方2寸、天枢穴の下1寸にある。

【解説】消化器疾患を主る。関元を配穴して下焦の虚寒によって起こる腹脹、腹痛を、また天枢、上巨虚を配穴して虫垂炎を治療する。

ST27大巨

【部位】下腹部、石門穴の外方2寸、天枢穴の下2寸にある。

【解説】大腸の病を主る。

ST28水道

【部位】下腹部、関元穴の外方2寸、天枢穴の下3寸にある。

【解説】水道は水の道を通調し、利尿作用がある。下腹部の諸疾患、とくに膀胱、子宮、尿道の病に効く。命門、膀胱兪、中極、水分、復溜を配穴して膀胱・腎の気化作用の失調による小便不利や乳房腫、口渇はあるが水を飲みたがらないなどの症状を治療する。また、中極、三陰交を配穴して尿道感染、頻尿を、中脘、水分、気海、足三里、復溜を配穴して腹水を治療する。

ST29気来

【部位】下腹部、中極穴の外方2寸、天枢穴の下4寸にある。

【解説】気来には温経活血の作用がる。下腹募の諸疾患、男女の生殖器疾患を主る。膀胱炎、尿道炎、子宮内膜症、子宮筋腫、月経不順、陰萎症、夢精、睾丸炎に著効。関元、三陰交を配穴して寒凝血瘀による閉経や骨盤控および外生殖器疾患の治療に用いられる。虚証には、これに腎兪、関元兪を、また実証には気穴、中極を加えるといい。

ST30気衝

【部位】下腹部、曲骨穴の外方2寸、天枢穴の下5寸にある。

【解説】腹膜炎、腹水に灸して著効。

ST31髀関

【部位】前大腿部、上前腸骨棘の下際、縫工筋と大腿筋膜張筋の間の陥凹部にある。

【解説】外側大腿皮神経痛、中風、半身不随、股関節炎に著効。

ST32伏兎

【部位】前大腿部外側、膝蓋骨外上縁より上方6寸にある。

【解説】脚気八処の一つ。

ST33陰市

【部位】前大腿部外側、膝蓋骨外上縁より上方3寸にある。

【解説】下腹冷感、下腹痛に効く。

ST34梁丘

【部位】前大腿部外側、膝蓋骨外上縁より上方2寸にある。

【解説】梁丘は胃経の郄穴である。足三里と同様に胃疾患の有効な主要穴であるが、梁丘は胃酸過多の治療に、足三里は低酸症の治療にそれぞれ優れている。腹痛、とくに胃痙攣の頓挫に特効を有する。また下痢止めの名灸穴である。中脘、内関、公孫を配穴して胃酸過多、胃潰瘍を治療する。

ST35犢鼻

【部位】膝蓋骨下縁と脛骨上端との間の中央陥中にある。

【解説】犢鼻は膝蓋靱帯外側の陥中にあり、その形が子牛の鼻に似ていることから命名された。脚気八処の一つ。鶴頂、梁丘、血海、陰陵泉、陽陵泉、足三里を配穴して膝関節炎を治療する。

ST36足三里

【部位】前下腿部、膝関節から下3寸、脛骨の外縁にある。

【解説】足三里は胃経の合穴で、その主治範囲は非常に広く、四総穴の一つでもあり、胃腸疾患の主要穴である。中脘を配穴して急・慢性胃痛の治療にしばしば著効を示す。また中脘、天枢、気海を配穴して急・慢性腸炎、消化不良などを、環跳、陽陵泉、懸鐘を配穴して下肢不随、小児麻痺後遺症、風湿痺症などを治療する。30歳以上の人は足三里に時々灸をすえると健康によい。

ST37上巨虚

【部位】前下腿部、足三里の下3寸にある。

【解説】上巨虚は大腸経の下合穴であり、腸疾患の主要穴である。脚気八処の一つ。大腸の病を主る。胃カタル、下痢、便秘に著効。天枢を配穴して結腸炎による急性腹痛を、また天枢、内関、曲池、公孫を配穴して細菌性下痢、腹脹、腹痛を治療する。

ST38条口

【部位】前下腿部、足三里穴の下5寸にある。

【解説】条口は下腿外側の経絡上の病によく用いられる。下肢麻痺、脚気、下肢の冷え、膝関節炎、下肢のしびれに著効。遠隔治療として、肩関節周囲の筋痙攣、疼痛を緩和させる。肩髃、肩髎、天宗を配穴して肩関節周囲炎を治療する。

ST39下巨虚

【部位】前下腿部、足三里の下6寸にある。

【解説】下巨虚は小腸経の下合穴であり、下腹部の疼痛治療の主要穴である。脚気八処の一つ。小腸の病を主る。腹鳴、腹満等に効く。中脘、関元を配穴して小腸の分清降濁の作用を強め、消化不良による下痢を、また天枢を配穴して急性腸炎を治療する。

ST40豊隆

【部位】前下腿部、外果の上8寸、条口穴の外方1寸にある。

【解説】豊隆は胃経の絡穴で、別れて足太陰脾経に走る。降逆祛痰作用があり、呼吸器疾患で痰の多い者には必ずといってよいほど用いる。脚気、足背痛、小児麻痺、下肢麻痺、咳嗽、痰多、咽喉腫痛に著効。曲池、内関を配穴して高血圧を、また膻中を配穴して癲癇を治療する。

ST41解谿

【部位】足関節前面の中央、長趾伸筋と長母趾伸筋の間の陥凹部にある。

【解説】解谿は胃経の経穴で、足関節の疾患によく用いられ、足関節リウマチ、足関節捻挫等に効く。上眼瞼下垂の名灸穴である。丘墟、商丘を配穴して足関節痛を治療する。

ST42衝陽

【部位】足背、第2・第3中足骨底間の前、動脈拍動部にある。

【解説】衝陽は胃経の原穴であり、胃疾患を主る。中脘、足三里を配穴して胃痛を治療する。

ST43陥谷

【部位】足背、第2中足指節関節の後、外側陥凹部にある。

【解説】陥谷は胃経の兪穴である。第2趾の麻痺、足背浮腫、足裏痛、顔面浮腫、眼球充血、水腫、腹鳴、腹痛に著効。下関、顴髎を配穴して顔面部の浮腫を治療する。

ST44内庭

【部位】足背、第2中足指節関節の前、外側陥凹部にある。

【解説】内庭は胃経の栄穴である。食傷、足背浮腫、第2趾の麻痺、上歯痛に効く。頬車、地倉、下関を配穴して顔面神経麻痺を治療する。

ST45厲兌

【解説】第2趾外側、爪甲根部の角を去ること1分にある。

【解説】厲兌は胃経の井穴である。脳卒中、脳貧血、顔面浮腫、扁桃炎、歯肉炎、腹水、衄血、消化不良に著効。合谷、風池を配穴して発熱無汗を、また十宣、人中を配穴して昏厥(失神)を治療する。

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