足の太陰脾経
- yokando2
- 2023年7月29日
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【足の太陰脾経】
SP01隠白
【部位】足の母趾内側、爪甲根部を去ること1分にある。
【解説】隠白は脾経の井穴である。脾は統血する臓であり、脾の健運作用が失調すると、血は経に帰ることができない。月経後も出血が止まらず、子宮出血となることもある。こういう場合によく隠白を主要穴として用いる。小児ひきつけ、失神の救急穴。関元を配穴して経漏、さらに行間を配穴して血崩を、人中を配穴して失血による昏迷を治療する。最近では、関元、血海、三陰交を配穴して機能性子宮出血を治療する。
SP02大都
【部位】第1中足指節関節の内側、関節隆起の前際にある。
【解説】大都は脾経の栄穴である。熱病で表実無汗、胃腸実熱、実証の疼痛、熱邪内閉、四肢の厥逆および小児ひきつけの治療によく用いられる。この穴には清泄裏熱、疏散表邪、気機通達、鎮驚熄風の作用がある。発汗を主る。人中、合谷を配穴して小児ひきつけを治療する。
SP03太白
【部位】第1中足指節関節の内側、関節隆起の後際にある。
【解説】太白は脾経の兪穴であり、また原穴でもある。清熱化湿の作用があり、時病による身熱煩満、嘔吐と下痢、腹痛などの胃腸疾患を治療する。母指麻痺、下痢、便秘、急性胃腸カタル、胃痛、腹部膨満感、吐瀉に著効。内関、足三里、大椎、天枢、合谷を配穴して発熱身重、腹痛、腹脹満、嘔吐と下痢を治療する。
SP04公孫
【部位】第1中足骨の基底内側、太白穴の後1寸にある。
【解説】公孫は脾経の絡穴であり、別れて足陽明胃経に走る。公孫はまた奇経八脈の交宗穴の一つで衝脈に通じる。理気寛胸、降痰除煩の作用がある。解熱の効あり。心疾患、胃潰瘍、常習性嘔吐、下腹鼓腸、腸疝痛、腸出血、脱肛、便秘、下痢、癲癇、脳充血、顔面充血、側胸部痛に著効。内関を配穴して嘆息、胸悶、心煩、悪心、胃痛吐酸、マラリアなどを治療する。
SP05商丘
【部位】内果の前下方の陥中にある。
【解説】商丘は脾経の経穴であり、健脾利湿の作用がある。足関節リウマチ、捻挫で足関節の腫れたものに鍼1寸でよし。天枢、気海、足三里を配穴して急性腹痛、下痢を、さらに関元、脾兪、三焦兪を配穴して脾陽による運化作用が失調したために起こる慢性の下痢を治療する。
SP06三陰交
【部位】内果の上3寸、脛骨後縁にある。
【解説】三陰交は足太陰脾経、足厥陰肝経、足少陰腎経の交会穴であり、足の三陰経の病症すべてを治療する。その応用はきわめて広く、胃腸、生殖器、泌尿器系、産婦人科疾患の主要穴であり、また下肢の病症にも用いられる。月経閉止、月経不順、子宮内膜炎、帯下等の婦人科疾患に効く。関元を配穴して生理痛を、中極、膀胱兪を配穴して尿閉、遺尿を治療する。
SP07漏谷
【部位】内果の上6寸、脛骨後縁にある。
【解説】胃腸疾患を主る。消化不良、胃酸過多、胃痙攣、胃潰瘍、腸疝痛、腹痛、下痢、腸雷鳴、筋肉痛、リウマチ、脚気、半身不随、下肢麻痺に著効。
SP08地機
【部位】内果の上8寸、膝下5寸、脛骨後縁にある。
【解説】地機は脾経の郄穴であり、健脾利湿、通経活血の作用がある。腎兪、期門、中脘、中極、水道、復溜を配穴して肝脾不利、脾失健運による食欲不振、溏泄(泥状便)、脇満腹脹、小便不利、水腫などを治療する。また、関元、帰来、三陰交を配穴して気滞血瘀による月経痛、閉経、癥瘕(腹部のしこり)などを治療する。
SP09陰陵泉
【部位】下腿内側、脛骨内側顆の下際の陥凹部にある。
【解説】陰陵泉は脾経の合穴であり、下肢の輸穴の中でも最もよく用いられる穴である。脾腎二経の症候を主治し、温運中焦、清利下焦の作用がある。中焦虚寒と下焦温熱によって起こる病症はすべてこの穴を用いてよい。膝関節炎・リウマチ、下腹痛、逆気等に効く。水道、中極、復溜を配穴して水腫を治療する。
SP10血海
【部位】大腿前内側、膝蓋骨内上角の上2寸にある。
【解説】血海は気血調和の作用がある。血分と関係のある雑病によくこの穴が用いられ、婦人科疾患の治療に有効である。昔から「風を治すにはまず血を治し、血が和すれば風は自ら滅ぶ」という説がある。この道理から、血海は陰部の掻痒、湿疹、蕁麻疹など、皮膚に風湿の邪が入ることによって起こる疾病に用いられる。膝関節炎・リウマチ、膝痛に効あり。刺鍼すると膝関節内に響く。三陰交、隠白、帰来を配穴して脾の統摂能力の失調による子宮出血を、また気穴、関元、三陰交を配穴して月経痛、閉経を、曲池、合谷、足三里、三陰交を配穴して蕁麻疹、皮膚掻痒などの症状を治療する。
SP11箕門
【部位】大腿前内側やや中央、膝蓋骨内上角の上8寸、縫工筋と大腿直筋の間にある。
【解説】股神経痛、閉鎖神経痛、足の静脈瘤等に効く。
SP12衝門
【部位】鼠径溝の中央、大腿動脈拍動部にある。
【解説】衝門は足太陰脾経、足厥陰肝経、陽維脈の交会穴である。一般には下腹部の冷え・脹痛、墜痛と尿閉などの治療に用いられる。腹水を主る。股神経痛、陰嚢ヘルニアに著効。中脘、気海、三陰交を配穴して子宮脱を、また大敦、三陰交を配穴して疝気(下腹部の痛み)を治療する。
SP13府舎
【部位】衝門穴の上7分にある。
【解説】府舎は足太陰脾経、足厥陰肝経、陰維脈の交会穴であり、下腹部の癥瘕(腹部のしこり)、積聚による急性痛の主要穴である。便秘には鍼先を斜め下方に1寸以上刺入。虫垂炎には右府舎に灸。大腸カタル、直腸カタル、下痢、腹痛、疝気に著効。中脘、気海、三陰交を配穴して子宮下垂、さらに大敦を配穴して睾丸炎を治療する。
SP14腹結
【部位】大横穴の下1寸3分にある。
【解説】便秘、下痢、側腹部の腸疾患に効く。臍周囲痛、疝痛に著効。
SP15大横
【部位】臍の外方4寸、乳腺上にある。
【解説】大横は足太陰脾経と陰維脈の交会穴であり、腹痛、下痢症の主要穴である。便秘、腹水、腹膜炎、月経困難等に効く。また婦人のヒステリーを治療する。天枢、上巨虚を配穴して臍傍部の腹痛を、人中、合谷を配穴してヒステリーを治療する。
SP16腹哀
【部位】大横穴の上3寸にある。
【解説】腹哀は足太陰脾経と陰維脈の交会穴で、主に胃腸疾患を治療する。胃痙攣、胃潰瘍、消化不良、胆石、肝臓肥大に著効。中脘、足三里を配穴して消化不良を治療する。
SP17食竇
【部位】乳根穴の外2寸、第5肋間にある。
【解説】肋間神経痛、胸膜炎、乳腺炎、乳汁不足、胸脇苦悶に著効。
SP18天谿
【部位】乳中穴の外2寸、第4肋間にある。
【解説】胸痛、咳嗽、乳腺炎、乳汁不足に著効。
SP19胸郷
【部位】膺窓穴の外2寸、第3肋間にある。
【解説】胸脇苦悶に著効。
SP20周栄
【部位】屋翳穴の外2寸、第2肋間にある。
【解説】肋間神経痛、肺炎、気管支炎、胸膜炎、嚥下困難に著効。
SP21大包
【部位】腋窩中央の下6寸、第6肋間にある。
【解説】大包は足太陰脾経の大絡であり、陰陽諸経の絡を管理し、全身の絡脈病症を治療する。後世では胸脇痛や脾胃疾患の治療によく用いられる。心内膜炎、胸膜炎、喘息、肺炎、胸脇痛、息切れ、全身疼痛、四肢無力感に著効。肝兪、期門を配穴して胸脇痛を治療する。
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