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  • yokando2

深谷伊三郎


最近、食生活の欧米化により、隠れ腎臓病の人が増えている。腎臓が弱くなると、血液の浄化という本来の機能が低下し、さらに、レニン、エリスロポエチン、活性型ビタミンDなど、腎臓から分泌されるホルモンに異常が起こるため、高血圧、貧血、骨粗鬆症などが誘発され、最終的には、心筋梗塞や脳卒中を招来すると言われている。


東洋医学では、全ての病の根源は腎にあるとしている。このことが、西洋医学によって証明されてきた訳である。このような腎臓病の予防・治療には、食の養生が一番であるが、背中の「腎兪」、お腹の「水分」、足首の「照海」などのツボに、お灸を続けることも、大変効果がある。


お灸によって、癌を退縮させたり、癌の増殖を抑制したという報告がいくつかある。その反面、第3度熱傷(皮膚全層の凝固壊死)に至るような強刺激の直接灸で、かなりの反復施術を行った場合に、灸痕が癌化したという報告もある。


洋漢堂では、このような極端な治療はしない。灸点紙やしょうがなどを用いた間接灸が主で、直接灸を行う場合にも米粒大以下の小さなお灸でするので、安心して、お灸のすばらしい効果を体験していただきたい。


ちなみに、半米粒大(高さ3mm、底面の直径2mmm)の円錐状のもぐさを、直接、皮膚の上に置いて点火した場合、最近の研究では、皮膚面で40.3度~112.5度という測定値が得られている。体温より高い温度で熱ショック蛋白が発現し、42度以上でタンパク質の熱変性が始まり、45度以上で熱痛が生じる。したがって、お灸によって、熱ショック蛋白が発現し、タンパク質の熱変性が起こり、熱いと感じることになる。発現した熱ショック蛋白によって、感染・傷害・疲労などで傷ついた細胞が修復され、がんや病原菌を殺傷するNK細胞の活性が高まる。タンパク質の変性で白血球が活動を開始し、熱の刺激で神経も活性化される。このように、お灸によって、体内の細胞が強く元気になり、自然免疫力が増加し、病気の治癒を促進することになる訳なのだ。


ところで、昭和の名灸師として名高い深谷伊三郎なる人物がある。深谷伊三郎(1900―1974年)は東京で生まれた。長期の病を灸により救われ、一念発起して鍼灸界に入り、灸のみの治療家として名声を博した。長年の経験をもとに、灸治療の基本を次の十項にまとめておられる。


1)経穴は効くものではなく効かすものである。

2)成書の経穴部位は方角を示すのみ。

3)経穴は移動する。

4)名穴を駆使して効果を挙げよ。

5)少穴で効果をあげるべきである。

6)反応のない穴は効めが少ない。

7)そこが悪いからとそこへすえても効果はない。

8)名穴であってもただそれだけに効くのではない。

9)灸柱の大小壮数は患者の体質に合わせよ。あつくないところはあつくなるまですえる。

10)経穴は手際よく取穴せよ。

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