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小豆島八十八ヶ所歩き巡礼


小豆島八十八ヶ所歩き巡礼


2021年10月14日から19日まで、5泊6日で小豆島霊場を歩いて回った。


当初は88ケ所すべてを踏破する予定だったが、二度も大きく道に迷い、体力と気力が切れてしまい、池田地区の40番、41番、42番、35番、39番と福田地区の84番、85番を欠いてしまった。実際に巡拝したコースは以下の通り。トータルの踏破距離は133㎞。


10月14日(木)晴(15.3km)、大曽根≪JR≫姫路≪バス≫姫路港≪フェリー≫福田港、第86番当浜庵、第87番海庭庵、第88番楠霊庵、第12番岡ノ坊、第13番栄光寺、第11番観音堂、第9番庚申堂、第8番常光寺、第7番向庵、安田・大山祇󠄀神社にテント泊


10月15日(金)晴(27.7km)、第2番碁石山、第1番洞雲山、第3番奥の院隼山、第3番観音寺、第4番古江庵、第5番堀越庵、第6番田ノ浦庵、岬の分教場(二十四の瞳)、第14番清滝山、第20番佛ヶ滝、第18番石門洞、第17番一ノ谷庵、第16番極楽寺、第15番大師堂、安田・若宮神社にテント泊


10月16日(土)晴のち曇り夜雨(21.0km)、第21番清見寺、第19番木下庵、第22番峯之山庵、第23番本堂、第24番安養寺、第25番誓願寺庵、第27番櫻ノ庵、第26番阿弥陀寺、第28番薬師堂、第29番風穴庵、第30番正法寺、第31番誓願寺、第34番保寿寺庵、第32番愛染寺、第33番長勝寺、第36番釈迦堂、第37番明王寺、第38番光明寺、池田・お堂の軒下にごろ寝


10月17日(日)曇り時々晴(26.3km)、第43番浄土寺、第45番地蔵寺堂、第44番湯舟山、第47番栂尾山、第48番毘沙門堂、第46番多聞寺、第74番圓満寺、第49番東林庵、第50番遊苦庵、第51番宝幢坊、第52番旧八幡宮、第54番宝生院、第55番観音堂、第56番行者堂、小豆島霊場総本院、第64番松風庵、第58番西光寺、南郷庵跡(尾崎放哉)、第59番甘露庵、第60番江洞窟、第61番浄土庵、第62番大乗殿、第63番蓮華庵、土庄・旭屋に宿泊


10月18日(月)晴(29.4km)、第57番浄源坊、第53番本覚寺、第65番光明庵、第66番等空庵、第68番松林寺、第67番瑞雲堂、第69番瑠璃堂、第70番長勝寺、第71番滝ノ宮堂、第72番奥の院笠ヶ滝、第72番滝湖寺、第73番救世堂、第75番大聖寺、第76番奥の院三暁庵、第76番金剛寺、第77番歓喜寺、番外藤原寺、第78番雲胡庵、第79番薬師庵、第80番観音寺、小部・砂浜にテント伯


10月19日(火)晴れ時々曇り(13.3km)、第81番恵門ノ瀧、第82番吉田庵、第83番福田庵、福田港≪フェリー≫姫路港≪バス≫姫路≪JR≫大曽根


ちなみに、6日間、島でかかった費用は以下の通り。テントをかついでの歩き遍路だと、けっこう安く上がる。


食費 5880円

宿泊費(一泊二食付き) 9880円

入場券・朱印代等 1260円

総計 17020円


小豆島霊場巡りは、意外や、中級者向け登山のレベルだった。


登山経験のない高齢者ではとても無理だろう。歩く距離は長く、峠越えがいくつもある。案内図には等高線が描かれていないため、道に迷いやすい。しかも、コロナの影響で歩き巡礼者がほとんどいないため、巡礼の山道はクモの巣だらけで、陽の当たるところは高い雑草に覆われて道が見えない。山道を抜けてほっとすると、衣服は多くのバカがくっついていて、抜くのに大変な手間がかかる。修験者の行場もあり、足がすくむ危険な岩場もいくつかある。


小豆島は、やはり、田舎である。


中山地区の渓谷では千枚田が展開し、昔懐かしの里山の原風景が一望できる。土庄地区以外、遍路道の路傍には食料品店、コンビニ、食堂の類いがほとんどない。したがって、歩き遍路では食事の確保に大変苦労する。路傍の赤みがかった熟柿と黄色いミカンをもぎりとって食べられたのがありがたい。美味この上ない。黄色い柿は渋く、青いミカンはまずい。オリーブは酸っぱく苦く、イチジクは実が硬くてとても食べられない。が、水分だけは、自販機や名水の湧き水でどうにか補充できる。


小豆島は漁業、石材、オリーブ、オレンジ、醤油・佃煮が主な産業。


波の静かな良港がいくつもあり、北部の山腹を中心に石材の採掘場があちこちにあり、オリーブ畑がいたるところにあり、オレンジ畑や醤油醸造所・佃煮工場も多い。オレンジ公園のある三都には、遠く甲府から60前後とおぼしき女性が移住してきていた。昨年4月、コロナの広がりを受け、テレビで見たオレンジ公園に魅せられてやって来られたという。明るい性格で地元の人々とも馴染み、私が第28番薬師堂への道に迷っていた時、近くの家の門をたたきそこの老人に聞き、また、車を止め、乗って男性に聞いてくれた。家族はみなアメリカに行ってしまい、自分は今この地で一人、美しい自然に囲まれ、快適なリモートワークをしている、とのこと。


小豆島は移住者の楽園である。


あるお堂の横に「大師の御水」という井戸水があった。バケツを投げ込んで水をくみ上げる。汗だくの頭にバケツの水をかぶり、顔を洗い、のどを潤す。薬師丸ひろ子でないが、カイカーン! だ。横のお堂の前の落ち葉を箒で掃いておられるご婦人がいた。聞くと、県外からの移住者で、寺の住職と知り合いになり、感謝の心で、週一度、自主的にお堂の清掃をしておられるとのこと。小豆島は移住者が多い島でもある。


小豆島は数々の映画やドラマの舞台となった。


第6番田ノ浦庵を下った浜辺には、映画「二十四の瞳」の舞台となった岬の分教場があるし、第15番大師堂は映画「八日目の蝉」に登場する。また、第58番西光寺の境内にある尾崎放哉記念館は、テレビドラマ「海も暮れきる」の舞台となった南郷庵を復元したものである。私は、尾崎放哉記念館を訪れたあと、共同墓地の中にある放哉の墓に参った。放哉の墓ってどんなに立派なものだろうかと思っていたのだが、案外小さくて質素なものだった。京都にある河上肇の墓と同じく、素朴でいい。


小豆島は野鳥の王国でもある。


私が今回小豆島で確認できた野鳥は、おなじみのスズメ、ハト、カラス、ムクドリ、ヒヨドリのほかにトビ、モズ、カケス、アオサギ、コサギ、カワセミ、イソヒヨドリなど、多彩だ。小部の砂浜で、夕方、マツの木の下で、右手にカルピスウォーター、左手にクルミパンをもって食べていたら、突然、背中に何物かが落っこちた、と思いきや、目の前2~3メートル先にトビが舞い降り、クルミパンをつかんで飛んで行った。このトビ、私の背後から急降下し、私の左手のクルミパンだけをつかんで前に落とし、即座に拾って飛び立ったのだ。私は、気配をまったく感じなかったし、クルミパンを握っていた私の左手は無傷だったのだから、見事な技である。貴重な食料をなくしてしょげるどころか、野生動物の素晴らしい技に脱帽し、あきれかえってしまった。


小豆島を歩いていると、いたるところで絶景を拝むことができる。どんなに疲労困憊していても、こんな景色に出会えるのだから、ありがたや、ありがたやである。

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