北御門二郎
- yokando2
- 2023年10月16日
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北御門二郎訳のトルストイ『文読む月日』は、翻訳者の魂が行間に漂っている本である。翻訳が、原著以上の凄みをもって、読者に迫ってくる。翻訳本が、医療同様に、病んだ人々を救う武器となるのである。
北御門二郎(1913年~2004年)は、トルストイの非暴力主義に心酔し、先の戦争では、兵役忌避をし、徴兵官に次のように云ったと、日記に書かれている。
「私が生を終ふる最後の日まで、人類から軍隊を駆逐し、一切の暴力や欺瞞と闘うために心を尽くし、力を尽くし、意を尽くす」
北御門二郎は熊本県市房山の麓で、イワンの馬鹿のように農業を営みながら、91歳で亡くなるまで、日々、トルストイの翻訳に専念した。
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