井上ひさし
- yokando2
- 2023年9月12日
- 読了時間: 1分

私は、小学生の頃、いなかの小さな学校の講堂で、人形劇「ひょっこりひょうたん島」を観たことがある。博士の中山千夏、ドンガバチョの藤村有弘、トラヒゲの熊倉一雄と、今は懐かしい声優たちだ。この脚本を書いたのが2010年4月9日に肺がんで亡くなった井上ひさしである。
井上ひさし(1934-2010年)は、大江健三郎、加藤周一らとともに九条の会の呼びかけ人9人の中のひとりである。彼は、「地球上から戦争や公害をなくしたい」という思いを、笑いという手段を用い、劇やコントや小説という形で表現した。彼が共鳴する人物は、ひたすらに天主様を信じ、遥かな東方の異郷へやって来て、孤児たちの夕餉を少しでも豊かにしようと、荒地を耕し人糞を撒き、手を汚し爪の先に土と糞をこびりつかせ、野菜を作る襤衣の修道士たちであり、また、ただひたすらに座禅をし、権力からはるかに遠い日常を送り、毎日の洗面さえも仏祖の大道を洗うこと、すなわち、生活即仏道であるとした道元禅師だった。このような思いが、「モッキンポット師の後始末」や「道元の冒険」に結実している。
Comments