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ルートヴィヒ2世

  • yokando2
  • 2023年9月5日
  • 読了時間: 2分

ルートヴィヒ2世は、ニーチェが生れた翌年の1845年に生れ、19歳でバイエルン国王になり、ノイシュヴァンシュタイン城、リンダーホーフ城、ヘレンキームゼー城の3城を作るなどの浪費を繰り返し、ニーチェの亡くなる14年前の1886年6月13日に41歳で死んでいる。ニーチェとルートヴィヒ2世には共通点があり、ともに自分の信念を邁進し、ワーグナーに心酔し、最後は精神疾患を患ったということである。


ルートヴィヒ2世は、パラノイアのため政務能力なしとの診断書によって6月12日に政府軍に捕らえられ、翌日の13日に精神科医のグッデン博士とともに幽閉先近くの湖で死んでいるのが発見された。グッデン博士を殺害後、自殺したと考えられているが、不審な点が多く、本当に精神疾患であったのか、また自殺であったのかは謎のままである。


久生十蘭は、短編小説「泡沫の記」の中でこの問題を取り上げ、精神疾患でなくハンセン病ではなかったかという説を立て、小説の中に、6月14日付けのリューデンガー博士による剖検結果を紹介している。


「王の身長は191cm、胸囲103cm、脂肪の沈着は顕著。筋肉及び骨格の発達は良好なり。死屍の顔面及び頸部に若干の腫脹。頭部、耳辺の皮膚は青色を呈し、背部及び四肢末に死斑拡張す。外傷は膝に若干の小傷痕を見るのみ。舌は僅に歯の間に挟まれ、歯牙の欠損、著明。肺は水を吸入した影響を除けば、全く健全。心臓は稍、大。胃壁に慢性カタルの痕跡。肝臓は充血し、腎臓は大でチアノーゼあり、他はすべて正常である・・・頭部の外皮は肥厚し、血液を多く含む。頭蓋骨の身長に対する比率は小。左右、稍不均等なり。顱頂骨は特に薄弱なれども、縫合の骨化は完全にして、異状を認めず。右の血管内腔にバッキオ氏肉芽発生す。頭蓋骨底部の血は完全には暗色の血液充満す。脳量(硬脳膜を除き)1349g。蜘蛛網膜は両半球に亘って、大部分肥厚し、白濁を呈す。一部、1マルク貨幣大の癒着を起し、胼胝状になり、顱頂骨の対応部は薄紙状に薄痩す。脳実質は血液豊富にして、稍、軟弱。」

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