マサオ・ミヨシ
- yokando2
- 2022年9月11日
- 読了時間: 3分
更新日:2023年7月31日

マサオ・ミヨシ(1928~2009年)は、日本人でありながらカルフォルニア大学で41年間、英文学の大学教授を務めた人物で、チョムスキーらとベトナム戦争に反対するなど政治的な活動も積極的に行った。彼は、自分のことをperverse(天邪鬼)と呼び、その一面は彼の辛辣な人物評価に最もよく現われている。以下、マサオ・ミヨシのインタビュー「抵抗の場へ」から。
・僕がバークレーに着いた時、彼(イアン・ワッツ)はやって来て「君が来るということを聞いた。私はただ君に、私が日本人を憎んでいるということを言っておきたい」と言ったのです。僕は「それはかまわない。僕も日本人は嫌いだ」と答えました。
・明仁(今の上皇)は学習院大学に在籍していて、僕のためにパーティーを開いてくれました。僕は明仁の隣に座って、ストライキについて話をしました。・・・彼は礼儀正しい人で何も言いませんでした。ただ座って微笑んでいました。
・丸山(眞男)さんは僕の人生の重要な要素ではありません。・・・僕にとっては彼は先生でも、偉大な思想家でもなく、むしろ飲み友達でした。彼が書いたものを幾つか読もうとしましたが、ただ僕は「ここに何も興味あることが書いてない」と思いました。
・だからこそ谷崎(潤一郎)が好きなのです。彼も非常にひねくれているのです。・・・彼は低俗なものを書くことを厭わなかったのです。ほとんどの文学者が嫌ったにもかかわらず。そういうところに僕は実際感銘を受けました。
・中西進さんが・・・「日本語は純粋な言語で、もしほとんどの単語の語源を調べるとすべては自然の事物である」と発表しました。・・・梅原猛は、それが非常に素晴しい発表だと褒め称えたのです。そこで僕は手を挙げて、「それはちょっと可笑しくないですか? もし何千年も昔に遡れば、すべては自然の世界である。・・・それなのにいったいなぜ日本語の語源は純粋で、英語、ドイツ語、フランス語、ホッテントット語は違うと言えるのか」と訊きました。彼らは何も言いませんでした。
・僕自身は村上(春樹)はつまらない余興家だと思っています。彼は本当に、全く使い捨て可能な作家です。村上と僕はプリンストンで二時間に及ぶ公開討論をしました。僕は「あなたは何も言うことがないのか。あなたの言っていることはつまらない」と面と向かって言いました。
・建設省は筑波学園都市を自分の管理下に置きたがり、そして彼らは磯崎(新)にタワー、つまり日本政府の力と権威などをあらわす男根の象徴を建ててほしかったのです。磯崎さんはその代わりに排水溝を作りました。水は排水溝に流れ落ち、つまり権力の象徴とは全く反対の物を作ったのです。
・三千人の世界貿易センタービルの犠牲者、ベトナム戦争の五万八千人の米兵と百万人にも上るというベトナム人犠牲者、イラク戦争の二千人にも及ぶ米兵死者、・・・十万以上のイラク市民死亡者、そして広島と長崎、また日本の軍隊に殺された一千万以上のアジアの住民。
・(アメリカの金持ちの)トップの10%はアメリカ全体の収入の42.9%を占めている。つまり国民の90%は僅かに57.1%を得るばかりである。・・・この人たちの間で収入の増加があるとすれば二次的な収入、つまり妻が働き始めたことによるのです。
・大学の図書館に行き、三島の本を何十冊か借り出して来ました。そのすべてを一週間で読み終え、三島のことについて考え始めました。そして、突然、日本の現代作家について本を書けないだろうかと思いついたのです。それから、二葉亭四迷を読み、一章を二週間かそこらで書き上げ、・・・夏目漱石の章を書くために、「夏目漱石全集」を始から繰り返し読み終えました。
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