ブラームス

「ブラームスはお好き？」

とフランソワーズ・サガンに聞かれたら、私はすぐに、

「はい」

と答えてしまいそうだ。

実は、ひと昔前、アナログのテレビで放送が見られなくなってから、しばらくはDVDを借りてきて古い映画などを観ていたのだが、しんどくなってきて、CDでクラシック音楽なぞを聴き流していた。当時ことのほかよく聴いたのが、ブラームス（1833－1897年）の曲だった。交響曲よし、ヴァイオリンよし、ピアノよし、クラリネットよし、歌よしである。

やはり、恩師シューマンのカミさんであるクララに恋し、シューマンが死んでからも恋しつづけ、生涯独身を貫き、年老いてクララが亡くなると、そのあとを追うように数か月後に死んでしまったという、このブラームスがなんとも粋なのである。

３Ｂとは、バッハとベートーヴェンとブラームスのことを言う。クラッシクの誕生とともにバッハが生まれ、バッハが死んでしばらくしてベートーヴェンが生まれ、ベートーヴェンが死んでしばらくしてブラームスが生まれ、ブラームスの死とともにクラッシクが終焉したような気がする。