ジョン・ボニカ
- yokando2
- 2023年9月13日
- 読了時間: 1分

手元に、2009年に発売された“Bonica's Management of Pain第4版”という分厚い(1600ページの)専門書がある。この初版は1953年に発売され、それ以後、痛み治療のバイブルとして活用されてきている。
この本の著者、ボニカ(John J. Bonica、1917-1994年)は、1917年にイタリアのシシリーで生まれたが、1928年にムッソリーニのファシスト政権を逃れてニューヨークに移住した。彼の生活は貧しく、レジデント時代には副業でプロレスをして生活を支え、1953年にはハワイで力道山とも闘ったという。過酷なプロレス稼業で股関節、肩関節、脊柱を痛め、生涯で15回の手術を受けている。
第二次世界大戦中は、ワシントン州の陸軍病院で麻酔科医として勤務し、日本軍との戦いで負傷した兵士を多数治療した。しかし、幻肢痛やカウザルギーで苦しむ兵士の除痛は困難で、学際的な痛み治療の必要性を痛感したという。その思いが、1961年にシアトルのワシントン大学医学部に組織されたマルチデシプリナリー・ペインセンターとして結実した。さらに彼は、臨床医と基礎医学者が情報交換できる国際組織を作ろうと思いたち、1974年に国際疼痛学会(IASP)を立ち上げている。
Comments