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石川啄木

  • yokando2
  • 2023年10月11日
  • 読了時間: 1分

君くれなゐの花薔薇(はなそうび)、

白絹かけてつつめども、

色はほのかに透きにけり。

いかにやせむとまどひつつ、

墨染衣(すみぞめごろも)袖かへし

掩(おお)へども掩へどもいや高く

花の香りは溢れけり。


ああ秘めがたき色なれば、

頬にいのちの血ぞ熱(ほて)り、

つつみかねたる香りゆゑ

瞳に星の香も浮きて、

佯(いつ)はりがたき恋心、

熄(き)えぬ火盞(ほざら)の火の息に

君が花をば染めにけれ。


この詩は同郷で後啄木夫人となる堀合節子がモデルと言われている。かくも妖艶で美しい詩をものにするとは、やはり、雲ばかりか、啄木自身も天才である。


石川啄木(1886-1912年)は1886年岩手県盛岡のお寺の長男として生まれ、社会主義を信奉し、歌人、詩人として活躍したが、1912年肺結核のため弱冠26歳にて死去した。

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