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柳谷素霊

  • yokando2
  • 2023年10月17日
  • 読了時間: 2分

柳谷素霊(1906年~1959年)は青森県の生まれ。鍼灸の復興の先頭に立ち、「古典に戻れ」と訴え、日本独自の「経絡治療」の礎を築いた。古典とは黄帝内経(素門、霊枢)と難経のことで、その古典を引用しながら「鍼の本道」について、こう述べている。


穴処に対しては充分静かにナデて気血の循行をつけ、

爪角にて之を按ずること五六息にして衛栄を破らしめず、

忍痛を軽やかにし、皮膚面に鍼尖をあてて衛気をうかがい、

緩やかに下して痛ましむることなく、

春夏は二十四息、秋冬は三十六息にして鍼を出し、

老人、小児、衰弱の人は五六息にて抜き、

肥人は深く、痩人は浅く、大人は太く、小児は細き鍼を用いる。

浮気の脈外を浮み軽くめぐり経に随い運りて肌肉をあたためる陽衛の気と、

精気の脈内を流れめぐり肌膚を潤す陰営の気を考え、

補瀉迎随温涼寒熱の刺し様を決し、五行の行を按じ、

五行の目を調べ、その色脈証候の虚実を弁ずべし。


素霊の「秘方一本鍼伝書」には、18の疾患に対する特効穴および鍼の刺入方法が具体的に書かれていて大いに役立つ。

上歯痛:客主人(側臥位、上から下へ横刺1~2寸、頬骨弓をくぐらせる)

下歯痛:頬車(手拭を噛ませ、後ろから前へ斜刺1~1.6寸)

鼻病:印堂(仰臥位、枕、閉目、開口、口呼吸、上から下へ斜刺5~6分)

耳鳴:頬車(手拭を噛ませ、後ろから前へやや上向きに斜刺1~1.6寸)

耳中疼痛:完骨(仰臥位、枕、閉目、開口、口呼吸、耳孔に向けて刺入1~1.3寸)

眼疾:風池(側臥位、開口、口呼吸、眼底に向けて刺入5分~2寸)

喉の病:合谷(丸竹をもたせ、全身に力を入れさせ、1~3分の深さで細指術)

上肢の外側痛:肩髃(正座、両手下垂、上から下へ揺らしながら斜刺、橈側にヒビキ)

上肢の内側痛:肩貞(内上方へ揺らしながら斜刺1.3~2寸、小指にヒビキ)

下肢の後側痛:外志室(脊柱と45度上から下へ斜刺)裏環跳(脊柱と45度下から上へ斜刺)

下肢の外側痛:環跳(側臥位、膝頭を腹壁に着けさせ、上下に進退させながら直刺)

下肢の前側痛:居髎(両足を伸ばし腹壁に沿って上下に進退させながら刺入2寸)、膝痛には血海、梁丘から膝蓋骨へ向けて斜刺、痛みに瀉、力なきに補

便秘:石門の左方1寸に垂直に2寸刺入で肛門にヒビキ

五十肩:肩髃、肩髎(肩峰の下をスレスレに貫通させる、1~1.6寸)

肩甲間部のこり:缺盆(後方やや上外方に向け緩やかに刺入3分~1寸)

肩甲上部のこり:僧帽筋前縁下際のコリコリに前から後下方へ1.3寸~1.8寸

上実下虚症:崑崙(アキレス腱の前で細い索状の物の前際)に1~1.6寸刺入

五臓六腑:臓腑の位置よりやや高い華陀穴の反応点に垂直に刺入

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