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多田富雄

  • yokando2
  • 2023年9月6日
  • 読了時間: 1分

免疫学者・多田富雄(1934ー2010年)は、2010年4月、様々なメッセージを後進に残して亡くなった。享年76歳。多田は67歳のとき脳梗塞で倒れ、右半身の運動能力と発語と嚥下の能力を失った。発症後6ヶ月を過ぎてもリハビリを続け、自分の中に生まれる何かを捜し、日々創造的に生き抜いた。特に、言葉に関しては、趣味でなく根源の精神としてとらえ、アインシュタインや被爆者を扱った新作能の制作に臨んだ。


生命科学者、中村桂子さんは、「先生は自分の師を非常に尊敬され、また弟子を大事にする人です。今の研究者は忙し過ぎてあまり考えることをしませんが、先生は自然体で思索第一の人でした。言葉はコミュニケーションの道具ですが、先生をみていると、言葉が考える道具でもあることを教えられます」と評されている。多田はお酒が好きで、言葉のリハビリ中、最もよく練習したのが「かんぱーい」で、嚥下障害があるにもかかわらず毎日の晩酌は欠かされなかったとのことである。以下は、多田がパソコンの電子音で語ったメッセージである。


日ごろの口癖:

科学者はシェークスピアを、文学者は相対性理論を読まなければ。


後進の研究者に:

ぎすぎすした貧しい研究ではなく、寛容で豊かな研究を。


新作能「原爆忌」より:

語り継ぐべし、過ちは繰り返すまじ。

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