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鍼灸則

  • yokando2
  • 2023年7月29日
  • 読了時間: 2分

2008年にWHOが定めた経穴(いわゆるツボ)は361穴で、1経穴で両側にあるものもあるので、全身には770穴ある。しかし、一鍼灸師が常用する経穴の数は100前後といわれている。江戸時代中期、摂津の鍼医・菅沼周桂は、著書『鍼灸則』の中で、自分が恒に常に使用している経穴は70穴のみで、これですべての疾患に著効があると書いている。ただし、70穴の中に阿是穴(痛むところ)を加えている。これは、ちょっとルール違反のような気もする。とりあえず、70穴を列挙すると以下のとおり。


(頭面部)

百会、頭維、翳風、耳門、風池、瘂門、睛明、迎香

(肩背部)

大椎、肩井、肩髃、膏肓、肺兪、膈兪、肝兪、脾兪、胃兪、腎兪、膀胱兪、腰眼

(胸肋部)

天突、中府、鳩尾、巨闕、幽門、上脘、中脘、梁門、陰都、建里、下脘、水分、章門、京門、神闕、天枢、陰交、氣海、石門、関元、中極

(手足部)

合谷、商陽、後谿、少商、神門、通里、列缺、外関、温溜、曲澤、曲池、内関、湧泉、大敦、隱白、内庭、足臨泣、申脈、照海、公孫、三陰交、承山、陰陵泉、陽陵泉、足三里、委中、風市、環跳、阿是


ところで、本場中国では薛真人という人が、すべての経穴は12穴にまとめられると述べている。これらの穴によって病を治療すれば著明な効果があり、その効果は雪に湯をかけるがごとし、として天星十二穴歌を発案している。その12穴は次のとおり。環跳以外、すべて手足にある経穴である。


足三里、内庭、曲池、合谷、委中、承山、太衝、崑崙、環跳、陽陵泉、通里、列缺


適応疾患は以下のとおりである。

1)足三里:心腹脹、胃中の冷え、腸鳴、下痢、腿・脛・膝のだるさ、感染症など。

2)内庭:手足の冷え、好静嫌音、ジンマシン、咽喉の痛み、アクビ、歯痛、食欲不振など。

3)曲池:肘の痛み、半身不随、筋肉弛緩、アデノイド、発熱、全身のかゆみ、癩など。

4)合谷:骨の痛み、顔の腫れ、マラリア、虫歯、鼻血、口が開かないなど。

5)委中:腰痛、背骨の引っ張り感、筋肉痛、移動性の痛み、変形性膝関節症など。

6)承山:腰痛、痔、排便不能、脚気、膝の腫脹、寝返り不能、コレラ、コムラガエリなど。

7)太衝:ヒキツケ、癲癇、咽喉・上腹部の脹れ、歩行不能、下腹部痛、鼠径ヘルニア、目のかすみ、腰痛など。

8)崑崙:コムラガエリ、坐骨神経痛、気管支喘息、挙足不能、心悸など。

9)環跳:ギックリ腰、足の冷え、慢性痛、坐骨神経痛など。

10)陽陵泉:膝の重みと痺れ、半身不随、挙足不能、寝たきりなど。

11)通里:発語不能、心悸、手足が重い、顔が赤い、食べられない、うつなど。

12)列缺:片頭痛、リウマチ、痰涎、口が開かないなど。

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