白幽子
- yokando2
- 2023年8月3日
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京都駅からJRバスで周山方面へ向かうと、最初のバス停は「三哲」である。この「三哲」は、「渋川三哲」という人名に由来するとのことだが、やはり、三人の哲人だと勘違いしてしまい、その三人は誰かと考えると、デカンショ節のデカルト、カント、ショーペンハウエルを思い浮かべる人がいるのかもしれない。が、私には、やはり、北白川の仙人、白幽子が愛読したという三冊、「中庸」、「老子」、「金剛般若」が連想されるので、孔子、老子、釈迦ということなる。それではいったい、この三人の哲人は何を説いたかというと、三人とも理想の「道」を説いたのであり、どのような「道」かというと、やはり、「中」、「無」、「空」となるのではないだろうか。
以下は、『夜船閑話』の中の一節で、江戸時代の高僧・白隠禅師が北白川の山中に隠遁している白幽子を訪れる場面である。白隠よりもすごい人物が、人里離れて隠棲していたのである。私も、宇治に住んでいた頃、比叡山に登った帰り、北白川の方に下り、その途中、この地を訪れたことがある。白幽子の隠居は史跡として保存されていた。
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漸く彼の蘆簾の処に到れば、風致清絶、実に物表に丁々たることを覚ゆ。心魂震ひ恐れ、肌膚戦栗す。しばらく巌根に寄りて数息する者数百、しばらくあって衣を振ひ襟を正して、おづおづ鞠躬して、簾子の中を望めば、朦朧として、幽が目を収めて端坐するを見る。蒼髪垂れて膝に到り、朱顔麗ふして、棗のごとし。大布のほうを掛け、なんそうの席に坐せり。窟中わずかに方六しゃくにして全く資生の具なし。机上ただ中庸と老子と金剛般若とを置く。
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