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中島潔

  • yokando2
  • 2023年9月4日
  • 読了時間: 1分

朝焼小焼だ

大漁だ

大羽鰮(いわし)の

大漁だ。

浜は祭りの

ようだけど

海のなかでは

何万の

鰮(いわし)のとむらい

するだろう。


~金子みすゞの詩「大漁」から


1943年生まれの童画作家、中島潔。母を早くに亡くし、すぐに再婚した父を嫌い、父の元を去り、その父に対する反発心で絵を描き始めたという。彼の絵の世界は、そんな激しいこころのうちとは裏腹で、ふるさとの優しいまなざしの子供たちの世界である。転機が、金子みすずの詩「大漁」を読んだときに訪れたそうだ。その最後の3行にある、いのちのはかなさ、これが自分に欠けていたことに気づいた。それからは、「大漁」という題材をいくどか描いている。


父の死で第2の転機が来た。いのちの輝き、これが分かったのだそうだ。最後の第4作目の「大漁」が2010年、襖絵8枚となって清水寺に奉納された。第3作「大漁」でいわしの大群に背を向けて悲しげにしていた少女は、第4作「大漁」では、向かってくるいわしの大群を真正面に見据えて立っている。第3作「大漁」が金子みすゞの世界で、第4作「大漁」がいのちの輝きを知った自分の世界だという。


「大群の先頭を行く鰮(いわし)に自分の亡き母への感謝を伝えてもらうように、目は少し優しく描きました。清水寺は仏様の場所なので、自分の思いを母に伝えてくれるのではないでしょうか」、と中島潔は語っている。

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